Cardanoの研究 リザーブが大きいだけではProof of Stakeの安全は確保できない
AFT 2026で発表された論文は トークン価格とトランザクション需要のあらゆる組み合わせごとに必要な最小リザーブを定め プロトコルガバナンスを想定したストレステストを提示する
By SongMarketCap
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Cardano Foundationの研究者Manvir SchneiderとInput Output Global(IOG)のPaolo Pennaによる査読済み論文が10月2日にAFT 2026の公式プロシーディングSchloss DagstuhlのLIPIcsシリーズで公開された。Foundationは10月13日の投稿でこれを紹介した。この論文は 手数料と段階的に取り崩されるリザーブから報酬を賄うネットワークの典型例としてCardanoを挙げている。著者らは リザーブ支出方針を評価するにあたり 名目上のリザーブが尽きる日付だけで判断すべきではないと結論づけている。
AFT 2026の論文における経済的セキュリティとリザーブの閾値
本研究 \"Reserve Depletion and Security Runway in Proof of Stake Systems\" はロンドンで開催されたThe 8th Conference on Advances in Financial Technologiesで発表された。報酬が手数料とリザーブから支払われ トークン価格と需要が変動する状況で 検証者がどれだけの安全なキャパシティを提供できるかを 経済モデルを用いて分析し 経済的セキュリティに焦点を当てる。Cardano FoundationはCardanoの開発と採用を支援するスイスの非営利団体で IOGはOuroborosプロトコルを担うエンジニアリング兼研究企業である。
このモデルは リザーブによる資金調達から手数料による資金調達への移行を記述する。ネットワークが若いうちは 手数料だけでは目標とするセキュリティ水準のコストを賄えないため トークンリザーブが差額を支払い 利用拡大によって手数料が肩代わりできるまでをつなぐ。セキュリティランウェイとは 現在のトークン価格と需要のもとで リザーブがその目標をなお維持できる期間を指す。論文によれば その期間はリザーブが空になった時点では終わらず 不足分を賄うには初めて小さすぎる水準になった時点で終わる。
著者らは 十分なリザーブと不十分なリザーブを分ける線をリザーブの閾値と呼ぶ すなわち 与えられた市場環境でなお目標を資金供給できる最小額である。この閾値は ネットワークの取り得る状態を三つのゾーンに分ける。需要が弱すぎると いかなる額でも目標は維持できない。中間のゾーンでは セキュリティはリザーブからの補助金に依存する 一方 三つ目のゾーンでは 手数料だけでセキュリティが賄われるため 閾値はゼロになる。
Cardanoのリザーブ ρパラメータとステークプール報酬
Cardanoの通貨政策ドキュメントによれば あるエポック内の全ブロックからの手数料は報酬プールに入り 残存するADAリザーブの一定割合もそこに加わる。その割合であるρパラメータは エポック当たり0.3パーセントに設定されている。その速度では 残高の半分が4年から5年の間に費消されるとドキュメントは述べる。報酬プールのうち20パーセント(τパラメータ)はトレジャリーに回り 残りがADAでの報酬として分配される。
本研究がモデル化するのはCardanoの規則そのものではなく 二つのパラメータを持つ一般的なケースである すなわち 手数料のうちリザーブに戻す割合と 各期間にリザーブから支払う割合である。モデルの中で 検証者は費用をドルなどの外部通貨で支払う一方 リザーブはネイティブトークンで保有される。したがって 著者らは リザーブが資金供給できるセキュリティ水準は トークン数だけでなく その価格を掛け合わせた価額に依存すると指摘する。
一方 手数料だけでセキュリティが賄われるゾーンに到達するかどうかは別の論理に従う。論文によれば それはトークン価格ではなく需要に依存する なぜなら 利用者が支払う手数料はすでに外部通貨で測られているからである。
プロトコルガバナンスのためのストレステストとモデルの限界
著者らがプロトコルガバナンスを意図したと述べる定理15は 価格と需要に関する悲観的な仮定を 所与の時間地平に対する最小リザーブ規模へと写像する。この定理によれば リザーブがその条件を満たすなら 選んだ下限を上回るあらゆる価格と需要の経路において セキュリティは維持される。このテストは 将来の手数料のリザーブ流入を無視するため保守的な見積もりであり その保証は定理の仮定の範囲で成立する。
著者らはモデルの限界も示している。価格と需要は所与として扱われるため 論文はトークンの評価や採用を説明しない。ベースラインでは検証者は対称であり そのため閾値はベンチマークとして読むべきだとされる。数値例は説明目的のパラメータ 例えば5人の検証者 を用いており Cardanoのための計算ではない。Foundationの投稿への返信では まさにCardanoの現状に対するその種の計算を求める声がコミュニティから上がった。
次の段階として 著者らは ネットワークの状態に応じて支払いと手数料の留保を調整する適応的な方針を提案する 例えば 価格下落後に支払いを削減する またはリザーブが少ないときにより多くの手数料を留保する といった具合である。その場合 プロトコルガバナンスは インセンティブと信頼性の制約の下で リザーブ規模 価格 需要に適応する規則を選ぶことになる。著者らは これは既存の方針を評価する段階から新たな方針を設計する段階への移行だと述べ これを今後の研究課題として挙げている。